「Trick or Treat!」

玄関を開けた瞬間、放たれたその言葉に俺は一瞬固まった。









「――…は?」

止まった思考を何とか動かし、一言そう呟くと、放った当人は暢気な声でまた「Trick or Treat!」と繰り返した。

「…先輩、何してるんスか?」

とりあえず思ったことを目の前にいるその人、桜川ヒトミ先輩に言ってみる。そこで先輩はやっと俺が状況についていけていないのを理解したらしい。

「何って…剣之助くん、今日はハロウィンだよ?」

その言葉にやっと納得した。そういえば、今日は確かに10月31日だ。

「ああ、そういえばそうっスね」
「でしょ。だから、Trick or Treat!」

俺が頷くと、先輩はまた満面の笑みを浮かべ、先ほどから繰り返していたハロウィンの決まり文句を言った。

お菓子、か…。
正直こっちとしても丁度良かった。
実は先ほどからケーキを作り始めていて、あとすこしで仕上がるところだったのだ。
俺が、それで良ければ、と伺うと先輩は勿論と嬉しそうに笑って頷いた。


「それにしても、先輩去年はこんなことしてなかったスよね?どうしたんスか突然。」

とりあえず先輩には部屋に上がって待ってもらうことにし、部屋に通しがてらそんなことがふと、頭をよぎる。
そのまま聞いてみると先輩は「えっ!」と短く驚きの声を上げ、そのあとの言葉がしどろもどろになり、どうも落ち着かなくなった。
そんな答えづらいことを聞いたのだろうか?
訝しんでいる俺と目が合うと、先輩は照れ笑いをその顔に浮かべた。

「実は…剣之助くんがケーキ作ってるの知ってたの。廊下にもすっごい良い匂いが漂ってて…。」

そしてちょっと言いにくそうに告げられた言葉に最初は目を丸くしたが、続く言葉ですぐに納得した。
確かに先輩は俺が夢の話をする前すらも度々匂いを嗅ぎ取ってたくらいだし、考えてみれば当然だ。

「それでつい、その匂いに誘われちゃったの…」

モゴモゴと続ける先輩に思わず笑みが浮かぶ。
まったく…先輩はダイエットに成功した今でも相変わらずだ。

「しょうがないっすね、先輩は」

と、「てっきり剣之助くんもハロウィンだからかな〜って思ってたんだけど」と頭をたれながら呟く先輩に苦笑すると、先輩はますます顔を赤らめた。
その様子があまりにもアレで、

「先輩。やっぱケーキはおあずけっス」

と、つい、湧いてきたちょっとした衝動にまかせ、俺はそう言った。
案の定驚いた顔でパッっとこっちを見上げてくる先輩に、俺はわざと目を見ながら顔をグッと近づける。

「って言ったら、先輩、どんな イタズラ してくれるんスか?」




































「冗談っスよ」



からかうのはほどほどにて、お菓子のかわりのケーキをあげよう
「Happy Halloween」と。






じ、時間切れ…で中途半端に終わらせちゃいましたorz
本当はもっと続く予定だったけど、久しぶりのSSで四苦八苦した結果終わりが見えず、切っちゃいました!
最後の三行はなくても良いかなと思ったので、無駄に行間開けてます(爆)
気づかなかったらそれでいいやってコトで。











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